原油価格高騰と金融市場の意味
”Statement of Alan Greenspan before the Committee on Foreign Relations”,
June 7,2006ai Man,”Greenspan warns of possible recession”
・最近原油価格が高騰を続け、90ドル/バレルに達している。原油を商品としてみれば、価格上昇(もちろん実質で考えねばならないが)は、
需要を減らし、供給を増やすから、おのずから価格低下につながるはずである。
ではどうしてそうならないか。グリーンスパン前FRB議長の議会証言は、わかりやすく、説得力に富む。
----- ・現在世界の石油需給は非常に不安定になっている。ちょっとしたショックで原油価格が大幅に動く可能性がある。
・原油価格は2002年以来上昇を続けているが、これはこれまでとは違う事態である。
・現在は需要と供給の間のバッファーが極めて小さくなっている。
・かっては、原油価格を決めるのは、消費者と生産者であった。しかも取引に参加できるのは、大手に限られた。
・しかし金融技術の発達によって、この市場への参入者が大幅に増えた。他方で世界の石油産業は、供給能力の拡大に十分投資してこなかった。
・石油先物をヘッジファンド等が購入するとき、売り手は石油の生産者・消費者である。つまり在庫が金融業者に握られるようになった。
・在庫が増えたにもかかわらず、その保有者は、石油の生産者・消費者でなく、金融業の手に移っており、
したがってこれが需給緩和の役割を果たせなくなっている。
・石油会社も投資資金を探鉱に回さず、金融市場で運用している。また産油国も、石油収入を経済発展のために使い、
石油探鉱にはまわさない(例外:サウジのアラムコ)。
・しかしこれまでとは異なり、世界経済が原油価格高騰で、大きななダメージを受けることは小さくなっている。
(解題)
・この問題に関しては、多くの石油エコノミストが発言を行っているが、はっきりいってあまり、わかりやすくない。
・グリーンスパン氏の議論は、明快である。現在の価格高騰と在庫増との関係が、よく論じられるが、
現在は金融市場の発達によって、その保有が石油の実利用者から、金融業者の手に渡っているというのだ。
・また本来供給拡大に投資すべき、石油会社や産油国の国営企業も、その資金を金融市場や、もしくは国内課題の解消に使っている。
・ただし、状況はそれほど悲観的ではない。それは、石油が経済活動の基本財から、徐々に離れつつあるからだ。
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