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サウジのテロは王家の正統性への挑戦
Al-Saud's legitimacy itself is the target in this crisis
FT, JUne 18,2004


(要旨)
・最近生じたサウジのテロ騒動は、サウジ王家が存続ができるかどうかという、問題を思い出させた。その答えは、すくなくとも短期的にはイエスである。
・しかし真の答えは、今回の危機はこれまでのものとは異なり、王家がなすべきことは、単に存続するだけでなく、この地域の安定性を確保しなければならないという点にある。
・サウジ王家は、これまでも何回となく危機に陥ったが、それを乗り越えてきた。
・この国は世界の石油埋蔵量の4分の1を保有している。また人口の3分の1は外人労働力である。またメッカには毎年数百万の回教徒が巡礼におとづれる。
・これまでのところサウジ政府は治安維持能力をあまり発揮しておらず、アルカエダが、サウジの崩壊を狙って、王族の暗殺を行うという不安は消えていない。
・今回のテロの目的は、サウジ王家の正当性を打ち砕くところにある。
・ビンラディンはかってサウジの商人だった。サウジはアメリカと堅い同盟を結んでいるが、ビンラディンにとっては、これは背教である。
・もしイラクが崩壊すれば、サウジはイスラム統一主義の孵化器と直接接することになる。
・より一般的に言えば、サウジは何千ものビンラディンを生み出す条件に事欠かない。人口の3分の2は25歳以下だが、石油頼みの経済は彼らに十分な職を与えていない。また6000人にも及ぶ王族が国の富を浪費している。ワハビ派の聖職は、ユダヤ人、クリスチャン、シーア派を異教徒であり、敵であると教える。
・実権を握っているアブダラ王子は、改革派の要請にこたえ、制限付きの選挙と王室の財政緊縮を約束した。
・しかし今一番重要なことは、ワハビ聖職者の力を抑えることである。しかしこれはまず無理だろう。サウジ王家は18世紀半ばにワハビ派と協定を結び、これが王家の正当性の印章になっているからだ。


(解題)

・このところ小康状態にあるが、石油価格は大幅に上昇した。その原因の一部はイラクの地勢的リスクかもしれないが、この記事の扱っている問題はより深刻である。すなわちサウジの政権が転覆する可能性は、長期的にはゼロではないと示唆している。サウジ国内で、若者の仕事が無く、国王一族が石油収入を浪費し、さらに宗教指導者が原理的な立場に立てば、これは確かにありえないことではない。
・かりに政権が変わったとしても、もちろん石油販売が一時的混乱はあるとはいえ、続くとも言える。しかしもしイスラム原理主義派が、力を持てば、石油収入に関する魅力は薄れるのだろうか。いずれにせよ、日本はどのような立場にたつのか、そしてそれをどのようにして実現するかに関するシナリオが必要だろう。長期的には、工業化社会を抜けることによって、石油依存の経済体系そのものが変化することは確かだが。