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石油価格上昇のインパクト
J.Hilsemrath & M.Walker "Oil Prices start to pinch, stiring concern
over economic
impact",WSJ June.4,2004
(要旨)
・歴史的に見ると、石油価格の上昇は、第二次大戦後のアメリカの不況の10回のIうち9回の先駆け、もしくは同時発生となった。
・アメリカでは天然ガス高騰のため肥料工場が閉鎖されたり、ドイツでは発泡剤の値上げが生じたり、また自動車メーカーは燃費の悪い車を売るためのインセンティブを増やしている。
・Energy Modeling Forumのハンチントンは、最近のエネルギー価格上昇がアメリカや世界経済に負の影響を与える可能性は2/3であるという。
・しかし先進国経済は30年前に比べ、エネルギー価格の上昇に対応力をつけている。経済はエネルギーへの依存を低めてきた。
・エネルギー価格上昇の経済へのインパクトはさまざまである。
*可処分所得の一部を奪うことにより、他商品(とくに耐久財)への消費を抑制する。
*企業の利益を減らし、投資や雇用にマイナスの影響。
*産業構造の転換を促すため、過渡的な費用が掛かる。
*物価上昇の危険から政策金利が上昇する。
・FRBは金利を緩やかに挙げるという現在の方針を変えるかもしれない。ECBは先週の木曜にインフレ予測を引き上げ、欧州経済回復のための金利低下の可能性を低めた。
・今回の石油価格上昇は、2つの理由がある。
*需要の上昇:とくに中国の需要の高まり。
*中東テロによる供給不安の高まり。
・アメリカ経済は本年4.5%成長、来年は3-4%成長となるだろうが、このエネルギー価格上昇によって0.3%程度成長は低下しよう。
・欧州ではユーロ圏の経済成長率は本年1.6%、来年2.1%程度だろうが、もしも原油価格が2004年中に40ドル/バレルを保てば、0.3%程度成長率は低下しよう。
(解題)
ここのところ原油価格の上昇は著しい。しかし問題なのは、この記事でもちょっと触れているように、どうして急に上昇を始めたのかということに関する原因究明だ。おそらく需要が強いことが40%、供給不安が40%、そして投機的動きが20%程度の影響を与えているのだろう。こうした問題でいつも感じるのは、日本にアップストリーム(上流:つまり石油開発関連)が無いことの弱みである。少し前に聞いた話だが、日本の石油関係の専門家を全部合わせてもアメリカの中規模の石油会社の技術陣にも及ばないということだった。つまり産油国側で実際何が生じているかが、じつは日本ではよくわかっていないというのが実情のようだ。
かといって官製のアップストリームつくりはかってのアラビア石油(これは財界主導)を除いてうまくいかないし、民間にはそれほどの元気もなさそうだ、
もう一つの方法は、産業や民生の構造をエネルギー離れさせることだろう。これは同時に温暖化防止にも役立つから、こちらが本命といえよう。
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