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ダボス会議の論点
J.Gapper,"When haves and have-nots swap", FT, Jan.26,2004
(要旨)
・ダボスの世界経済フォーラムではさまざまなイベントが開催された。しかしもっとも面白いのは、参加者とのちょっとした会話だ。印象に残った3つのケースを取り上げる。
・第1は中国に進出を試みた製造業のトップとの会話である。彼の会社は中国北東部に工場建設を決め、先月その調印のために現地を訪れた。市長に現地を案内してもらったところ、道路、鉄道などの予定地に集落のあることが分かった。この点を問いただすと、市長は「心配ありません。彼らはどこか別のところに住むでしょうと答えた」。
・第2はウォールマートに納品しているアメリカ企業(仮にA社とする)のトップである。彼はウォールマートの本社(アーカンサス州)を訪れ、厳しい交渉の後、契約をまとめて、自社に戻った。直ぐその後で彼は納入業者の一つから連絡を受けた。この業者はウォールマートから連絡を受け、A社に対する納入価格を引き下げるように求められたという。小売の巨人(ウォールマート)はA社のサプライ・チェーンをたたくことによって、さらに値下げ交渉の余地を作ろうとしているのである。
・第3はオープンソースに関する議論の場であった。司会が「列席者のうちオープンソースを使っている方は手を挙げてください」といったところ、約半数が手を挙げた。「では将来はドウですか」と聞いたところ、ほとんどが挙手した。それに反対したのはマイクロソフトの重役のみだった。
・つまり企業は伝統的な経営手法が大幅に変わりつつあることを経験している。
・その原因は、先進国と途上国との貿易の伸びと電子ネットワークが個人ならびに企業間に張り巡らされたことである。
・それをうまく活用した企業、たとえばデルやウォールマートは生産性を大きく伸ばした。
・この波のもう一つの影響は力がメーカーから販売業者に移ったことである。商品のコモディディ化といってもよい。
・ネットワークもそれ自体大きな変革要因になりつつある。音楽業界だけでなく、映画業界もいかにして配信とそれによる収益を上げるかに苦心している。
・マイクロソフトもオープンソース化の波に洗われている。
・こうした波に乗ったのはインドの業界だ。今ではアメリカのレントゲン写真の画像はインドに送られ、そこで検査された後結果が一晩でアメリカに戻される。
・通常IT化は、先進国にプラスを途上国にマイナスを与えるとみなされてきた。しかしここの所、厳しい状況にあるのは先進国の雇用で、途上国にそれが流れつつある。おそらく追い立てを食った中国の人々も新たな雇用先を見つけるだろう。
・インドと中国、ウォルマート、インターネット、こうした波を無視して将来を語れない。
(解題)
いつも思うのだが、国際会議などで、日本人の偉い人が出席しても、こうした何気ない会話から将来のヒントを得るという場面にはなかなか出くわさない。例外は故人だが大来佐武郎氏ぐらいだろう。それは英語が単にできるだけでなく、何かを語りかける一種のフィロソフィーを持たないと、こうした個人のコミュニケーションに入っていけないからだ。よく外国に友人がいるなどという話を聞くが、実際に対等の関係で、しかも金銭などの利害を離れて胸襟を開く友人を持っている人は、少ないように見える。
こうしたことが日本の将来動向に対する、洞察力の不足につながらなければよいと思うのだが、どうだろうか。
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