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科学者が、地球環境問題に新たな警告
 Clive Coolson, FT Aug.26,2004

(要旨)
・科学者は、地球が新たな地質学上の時代、「人間中心の時代」(Anthropocene age)に入ったことを認めつつある。
・つまり人間活動が地球の物理的、化学的、生物的特性を大幅に変えつつある。


・ノーベル賞受賞のクルーゼン(Crutzen)教授は、この概念を4年前に提唱し、それが市民権を得つつある。
・ステッフェン教授は、これまで地球環境は比較的安定しており、その中で人間社会は発展を遂げてきたが、これからは不安定さが増すだろうと指摘する。
・科学者は、この問題に取り組むためにコンピュータ・モデルを開発中である。それによると地球のアキレス腱が明らかになりつつある。
・一つの例は、サハラ砂漠とアマゾン地域との関係である。サハラ砂漠の砂埃が大西洋を越えてアマゾンに飛び、それがアマゾンの養分になっている。しかしコンピュータ・モデルによると、地球温暖化によって、この連鎖がうまくいかなくなるため、アマゾンの緑は消失し、サハラの緑化が進むだろうとのことである。
・それ以外の問題点としては、北大西洋の海流循環、南極西部の氷床、アジアのモンスーンシステム、ジブラルタル海峡が地中海と北大西洋の塩分濃度のバルブとなっていることなどがある。
・もう一つの問題は、大気中の炭酸ガスが増え、それが海洋に溶け出すことによって、海洋の酸性度が上昇するということである。これは海洋の生物学的多様性に被害を与えるとともに、温暖化の加速化につながることになる。

(解題)
・日本ではほとんど話題にならなかったが、「ペンタゴンレポート」がある。これは本年2月に英国の新聞がすっぱ抜くことでその存在が明らかになり、有志の手で日本語訳も出回っている。これを見ると地球環境問題が、100年単位の悠長な問題ではなく、10年単位の位相を変える問題になりつつあることが分かる(より詳しくはnational research council,abrupt climate changeを参照)。
今回のこの記事もそれと軌を一にしている。ここでは、人間活動の地球環境に与える影響が、地球の地質学上の特性を大きく変え始めていることが、さまざまな角度から示されている。ペンタゴンレポートでは、2010年以降の食糧危機の発生と、日本の軍事大国化が論じられていた。日本の政治家や官僚は、太平洋戦争のときもそうだったが、総合戦略を立てることができない。90年代が「失われた10年」なら、2000年代は、いったいどのような名前が付くのだろうか。要路に立つ人たちの無責任さが、2010年代におおきなツケとなって、国民に戻ってこなければ、幸いだが。